CANTUSのことを知ったのは、去年のクリスマス前。仕事仲間のスタイリストさんから、「すごくいいから聞いてみて」と『ハルモニアの娘』というタイトルのアルバムを渡されたのが最初でした

ピアノのシンプルな伴奏に、声が幾重にも重なっていく。出だしは澄んで透明に思えた声は、重なるたびに力強く響いたり共鳴しあったり、様々な表情を見せる。合唱って、こんなに美しいものだったんだと、久しぶりに気づかされ、最後まで引き込まれるように聞いていました。
アルバムの構成は、「きよしこの夜」「アヴェ マリア」と耳なじみのある曲もあれば、イタリア語、ラテン語、ドイツ語の歌詞で書かれた初めて聞く曲も。楽曲解説を読むと、ジャンルは教会音楽。グレゴリオ聖歌やミサ曲などの古楽から、近代〜現代の合唱曲からなっています。教会音楽というと、ゴスペルを思い浮かべる人もいるかもしれないけれど、ゴスペルはプロテスタントのもので、CANTUSが歌うのはカトリックのもの。かといって、保守的な合唱曲ではなく、彼女たちは、独自の解釈で自由にアレンジを加え、実にのびのびと歌っています。
例えば、2曲目のシャルパンティエの「アニュスディ」。本来なら、合唱とオーケストラで構成される厳かな曲なのですが、もとの曲を知っている方ならきっと驚くような、牧歌的なアレンジがされています。
彼女たちの音楽を例えるなら、まだ、誰も脚を踏み入れていない雪原。丁寧に編まれたアンティークレース。太陽の光を乱反射させるガラスモザイク。きらきらしていて、壊れやすくて、儚いもの。
すごくイノセントでピュアな歌声なのですが、耳触りがいいだけでなく、心の奥にちくっとささる、なにか独特な力が、CANTUSの歌にはある気がします。
どんな人たちなんだろう。気になっていたところ、ひょんなことから直接インタビューで会えることになりました。

桜のつぼみが膨らみ始めた3月下旬。CANTUSの練習スタジオがあるという、代々木の住宅街の坂を上る取材チーム。教えられた住所の場所には、いい感じに古びたマンション。あの部屋かな、と思われる窓からはオレンジ色の灯がこぼれ、複数の女性の明るい笑い声が聞こえてきます。
ドアを開けて、私たちを迎え入れてくれたのは、この練習スタジオの家主でもある太田美帆さん、MIHOさん、HIROさん、MINAさん、MAKAさんの5人。(YOUさんは旅行中、REIさんはイギリスへ留学中、RINAさんは仕事で欠席)
みんな歌声のイメージ通り、華奢でふんわりとしたかわいらしい外見。でも、お話を伺い始めたとたん、そのイメージは見事に裏切られました。差し入れのシュークリームに大喜びしてくれる姿は、街で見かけるような等身大の20代の若い女性の姿そのもの。初対面の緊張を、ほぐれさせるような人なつこい笑顔ばかりです。
仲良く、冗談を言い合う様子は、まるで姉妹のよう。それもそのはず、8人が出会ったのは、もう20年も前、メンバーが小学校低学年のときにまでさかのぼるのでした。

