EVENT INTRODUCTION

イベント紹介

3月20日(火)-3月31日(日)

早崎志保 ガラス展『星降るガラス』at 手紙舎 2nd STORY

 

うららかな陽に誘われて、てんてん星が踊りだす

透き通ったガラスの器、つられて春に色づいた

 

あたたかな日差しを感じる春暖の頃、ガラス作家・早崎志保さんによる、手紙舎初の個展を開催いたします。愛知県、岡崎市に工房「ガラスごこち」を構え、吹きガラスを中心とした制作を行う早崎さん。かつてはもみじ市や花市にも出店してくださいました。この度、彼女の代表作でもある、透明なガラスに小さな点々の模様が入る『てんてん星』シリーズに、6色の新色が登場します。これまで、小鉢や花器、平皿、グラスなどさまざまな形で展開してきたてんてん星。初めて見せる新たな“色”をぜひご堪能ください。

 

▪️topic 1
早崎志保さんの代表作『てんてん星』の新作、6色の器を初お披露目いたします。

▪️topic 2
期間中、手紙舎 2nd STORYのカフェでは個展限定のスペシャルメニューをご用意します。

工房「ガラスごこち」 を訪ねて .1
工房「ガラスごこち」 を訪ねて .2
早崎志保さんの器


 

工房「ガラスごこち」 を訪ねて .1

2月の終わり、冬の合間にぽっかりと訪れた暖かな日に、愛知県、岡崎市に佇む早崎さんのガラス工房「ガラスごこち」を訪ねました。長閑な住宅街、ご自宅の横に建てられた工房は、隣には小さな畑を構え、春を思わせる陽光に包まれていました。

 

工房の扉を開けてまず目に入るのは、右手にずらりと並んだ器たち。ご自身で作られたという展示台は、ガラスの色が美しく映えるように真っ白に塗られています。一等席に並ぶのは、今回の個展で発表になる『てんてん星』の色ガラスのシリーズ。

金色を帯びたピンクオレンジや、淡く色づいたローズピンク、爽やかなライムイエローやソーダなど、様々な色の『てんてん星』が並びます。展示台の上では、底面のガラス板に反射して、優美な模様を描き出していました。

工房の中には、てんてん星シリーズの他にも、なめらかな曲線が落とし込まれた花模様の器や、種々のアートピースなどが飾られ、眺めているだけで心が弾みます。

アトリエ左側はガラリと雰囲気が変わり、大きな窯が立ち並んでいます。手前の大きな窯は、材料となるガラスを溶かす溶解炉。その隣に制作の途中にガラスを温めるためのグローリーホール(再加熱炉)、熱せられたガラスの温度をゆっくりと常温に冷ますための徐冷炉と続きます。

最も高温になる溶解炉は、常に1240℃ほどに温められ、中には液状になったガラスが溜められています。炉の中にセットされた、ガラスを溜める壺は『猫壺』と呼ばれているのだとか。その姿が背中を丸めた猫に似ているからついた名前だそうなのですが、愛らしいネーミングに思わずクスリと笑みがこぼれます。

窓辺には、猫壺に最後に残ってしまうというガラスの塊が。「なんだか綺麗で捨てられなくて」と飾られたガラスは、素材そのものの魅力を伝えてくれるようでした。

真っ白なグローリーホールは、一度温められると目が痛いほどの光を放つそう。早崎さんのアトリエのグローリーホールと徐冷炉は、窯屋さんと一緒になって手作りしたものなのだとか。ガラスに息を吹き込む“竿”も手作りするなど、工房のあちこちには、どうしても設備費用が大きくなってしまうガラス制作を続けていくための知恵が生きていました。

次回は、実際に『てんてん星』の器が生まれる様子をお届けいたします。


 

工房「ガラスごこち」 を訪ねて .2

主に吹きガラスの技法を用い、制作を行う早崎志保さん。本日は、実際に作品が生まれてくる様子をご紹介いたします。

まずはガラスや道具の“ごみ取り”をされるそう。真っ赤に熱せられた溶解炉から、竿を用いてガラスの表面をすくい取ります。

マーバーと呼ばれる鉄板の上で、先ほどのガラスの「表面を平らにして冷ます」工程を繰り返します。こうすることで、溶解炉のガラスの表面のゴミを取り除くのだそう。


そのまま、整形に使用する道具でガラスをつまみ、今度は道具のゴミをとりながら、ガラスの熱で道具を温めます。

道具の準備が整ったら、いよいよ制作に。竿を用い溶解炉から一層目のガラスを巻き取り、グローリーホールで温度を保ちながら、時折空気を吹き込みます。

整形には「紙りん」と呼ばれる新聞紙を厚く重ねた道具を用いるのだそう。緩やかに形を整えていきます。実は早崎さんのグラス制作のポイントが、この紙りんによる整形にあるのだとか。ガラスの厚みが均一になりすぎないように、手で整えていくことで、ガラスの中に揺らぎが生まれるのだと言います。

そうして形が整ったら、再び溶解炉へ。2層目のガラスを巻き取り、息を吹き込んで形を整えていきます。制作中、溶解炉から取り出した瞬間から、竿を持つ手は常に回し続けなくてはいけません。後で実際に少し持たせていただいたのですが、ガラスが重さで垂れてしまわないよう、左手を常に動かしながら、右手で整形していく作業は、思うよりもずっと難しいものでした。実は初心者が1人でガラスコップを作るようになるまでに、なんと約1年もの時間がかかるそうです。

てんてん星シリーズを制作する際は、この一層目と二層目の間に真鍮線を巻き込み、模様を描いていきます。ガラスに色をつけたい時も同様、一層目の上に色ガラスの粉をまぶし、再び二層目のガラスで覆うのだそう。

二層のガラスに息を吹き込み、幾度もグローリーホールと作業台とを行ったり来たり、少しずつ形を整えていきます。おおよその形が定まった後は、グラスの飲み口作りに。ポンテと呼ばれる竿をグラスの底に付け、最初の竿からガラスを切り離すことで、飲み口となる穴を作ります。箸でつまみ広げながら、グローリーホールの中でくるくると竿を回すと、遠心力で口元が緩やかに広がっていくのです。


あっという間にてんてん星のグラスが完成。ガラスが冷めないようにと瞬く間に展開されていく制作風景は、まるで魔法を見ているようでした。

灼熱の朱色から本来の色に戻ったガラスも、この時点ではまだ500℃近い温度を持っているのだそう。徐冷炉の中で、時間をかけてゆっくりと熱を冷まします。


制作の後、早崎さんの作った器でお茶をいただきながら、お話を伺いました。「ゆらぎ」を閉じ込めたてんてん星のグラスは、透明のドリンクを注ぐと、ストレートのグラスにはない、独特の影が揺らめきます。

次回は作品についてのお話と、個展当日に並ぶ器をご紹介いたします。

 


 

早崎志保さんの器

 

いよいよ本日からスタートした早崎志保 ガラス展『星降るガラス』。個展当日に並ぶ器をご紹介いたします。
 
1.「てんてん星」シリーズ

photo: suzuki shizuka

今回の個展のメイン作品でもある、てんてん星シリーズ。個展にて初お披露目となる6色の新色が登場です。ローズ、ピンクオレンジ、ライムイエロー、ソーダ、オリーブ、グレー。まるでゼリーのような淡い春色の器を楽しみください。

 

2.花模様とちょうちょの器

とろりとした乳白色と、大きな花びらや羽が可憐な『花模様の器』と『ちょうちょの器』。淡く透き通る花と蝶の繊細な美しさをご堪能ください。
 
3.銀の景色の器

切り絵のような銀箔を閉じ込めた『銀の景色』シリーズ。絵本の中のような世界を閉じ込めた大皿や、ワンポイントの花々が愛らしい小皿などが並びます。
 
4.リンゴのグラス

透明なグラスに愛らしいリンゴのイラストが描かれた『リンゴのグラス』。取手がついた『リンゴのこどもグラス』は、しっかりとした持ち手でお子さんでも安心して使うことができます。

 

5.アクセサリー

鮮やかな色ガラスの上に、切り絵のような箔が輝くアクセサリーもご用意いたします。春にぴったりの華やかなヘアゴムやブローチなど、ぜひご覧ください。

 
 
さまざまな作風を持つ早崎さんの作品。その多くは、“蛍光リサイクルガラス”と呼ばれる再生ガラスを原料としています。名前の通り、蛍光灯をリサイクルすることによって生まれたガラスは、他のガラスに比べ環境への負荷が少ないのだとか。オブジェなど、アート作品を作ることもある早崎さん。ある時ふと「自然をテーマに制作を行っているのに、こんなにも熱量と資源(材料)を消費して良いのだろうか」と疑問に感じたことがあったそうです。新品のガラスの粉を溶かす際、作業工程でどうしても環境や身体に良くないガスが発生するのだとか。隣に畑を有し、これから子どもも生まれると言うタイミングで工房を構えるにあたって、よりクリーンな素材を選んだと言います。

 

photo: suzuki shizuka
自らの器作りについて、「使う人の入り込める、余白を残すことが大切」と語る早崎さん。てんてん星のグラスに加えられた“ゆらぎ”は、持ち手にフィットするように。しっかりとした足のワイングラスは、日常使いでも割れにくいように作られてます。自分の考えをアートとして表現しながらも、器の先にいる使い手のことを考えて生み出される彼女の器は、見た目の美しさのみならず、使い心地に向き合って生まれた暮らしの器。毎日にそっと彩りを添えてくれる、早崎さんの器をぜひご覧ください。
 


 
【早崎志保 ガラス展『星降るガラス』】
2019年3月20日(水)-3月31日(日)

手紙舎 2nd STORY
東京都調布市菊野台1-17-5 2F
tel:042-426-4383
open:12:00-23:00(22:00 LO)
close:月・火(3/25,26)

作家在廊日:3/23(土)、24(日)

 

▪️早崎志保

愛知県、岡崎市に工房「ガラスごこち」を構え、制作を行うガラス作家。『てんてん星』シリーズの他にも、乳白色のガラスに美しい花模様が落とし込まれた器や、箔で描かれた切り絵が閉じ込められたアクセサリー、時にはインスタレーションなど、幅広い作風をもつ。

https://www.instagram.com/glasscocochi/