tegamisha

そのカレンダーに出合ったのは今から4年前。
独特の細長い紙片の中に、「この場所しかない」
というような具合で、静かに佇んでいる写真。
その美しい写真からは、それを撮影した人の美学や、
暮らしの匂いのようなものが漂ってきました。
「花と果実」「器と骨董」というカレンダー作りを続けて
今年で9年目。2009年のカレンダーの制作が
追い込み時期に入っていた2008年9月上旬、
椿野恵里子さんの“言葉”を聞くために、
大阪市にある、古い集合住宅の一室を訪ねました。

|第3回|本当の始まりは、京都の手づくり市|

お手紙 椿野さんのカレンダーですが、この細長い形が独特ですよね。カレンダーの枠にとらわれてないというか。これは最初からですか?

椿野 最初から変えていないですね。それから最初の頃のカレンダーは、印刷じゃなくてカラーコピーなんです。

お手紙 え、本当に?

椿野 そうなんです。コピーするときに、12か月分の制作費をいちばん安く上げる方法を考えて。だから、カレンダーのサイズはB4の3分の1なんですね。

お手紙 なるほど、そういうことなんですか!

上/カラーコピーで制作していた頃のカレンダー

椿野 そういう単純な理由なんですけど、見たときのバランスが好きだったので、決めたのだと思います。そういうことって大切ですよね。最初の頃のカレンダーって、L版サイズの写真を、そのまま原寸で使っているんですよ。

お手紙 へえー。手作りだったのはいつまでですか?

椿野 2005年までですね。

お手紙 わりと最近ですよね。最初から販売しようと思って作っていたんですか?

椿野 そうですね、いちばん最初は…、京都に『手づくり市』ってありますよね? 何人かでブースを借りて、手づくりの品を販売するという市なんですけど。その手づくり市に「何人かでワンブース借りるから、何か作ってみない?」って友人に誘われて、半年分のカレンダーを作ったのが本当の最初なんですよ。

お手紙 そうだったんですか!

椿野 はい。私のプロフィールでは、2000年からカレンダーを作り始めた、と書いてあると思うんですけど、手づくり市に出店したのは1999年のことなんです。春だったので、1999年の後半のカレンダーを作ったんですよ。6月から12月までかな? そういうのを確か作って。

お手紙 そうだったんですか。それは初めてお聞きしました。

椿野 手づくり市に誘われて、私は何をやろうってすごく考えて。そのとき既に写真は撮っていたんですけど、作品として出してはいなかったので何をすればいいんだろうって悩んで。お茶を淹れようかとも考えたんです(笑)。でも、みんなそれぞれ「私は布で何か作る!」とかあったんですね。だから私もいろいろ考えてみて。それで改めて自分が撮っている写真を見て、私、季節の写真を撮っているなって思ったんですね。じゃあ、これで何か作ろうかと考えたときに、カレンダーが思い浮かんだんです。そういえばカレンダーって、いいなって思うものがなかったし、自分でも毎年このカレンダーを買おうって決めていたものもなかったんですね。使っていなかったようにも思うし。手帳とかで代用しちゃって。あったら欲しいけど、欲しいのがないなっていう気持ちがあったんです。そうやって考えてみたら、あぁ、作ればいいんだって思って。最初はそのくらいの単純さだったんですよ。

お手紙 それでカレンダーに?

椿野 はい。それで手づくり市で作ってみたら、みんなが結構欲しいって言ってくれたから、あぁ、そうなんだって思って。それで、次の年の2000年に、ちゃんとやってみようと思ったんですね。でも、手づくり市に出たのはその一度だけなんです。「できたらお店で扱いますよ」と言ってくださる方も何人かいらっしゃったので。 始まりは単純でしたけど、今まで続いたのはそれも意味があったのだと思っています。

お手紙 写真はもともと撮りためてあったものを使ったということですよね? そのとき撮っていた写真も今と同じように、季節の果物だったり骨董だったりしたんですか?

椿野 そうですね。自分が撮りたいと思って撮ってきたものだし、その流れを変えなくてもいいかなと思って。カレンダーを2種類作ろうと思ったときに、どういうジャンルに分けようか考えて『お花』と『器』というテーマに分けました。カレンダーの写真を撮るためにジャンル分けをしてからは、「これはお花なのか器なのか」って、意識して撮るようになりましたね。それまではお花と器を一緒に撮っていたり、ミックスした感じも多かったので。

続きは次回をお楽しみに。

椿野恵里子さんからのお知らせ

椿野さんのカレンダーが購入できます!

椿野恵里子さんのカレンダーがお買い求めいただきます。『花と果実』『器と骨董』の2種類があります。いずれも2009年度版です。詳細はこちらをご覧ください。



風景のあとに-カレンダーのくれたもの

椿野恵里子さん初めての著書。椿野さんがカレンダーを制作する上で大切にしていること、ご家族とのエピソードなど、椿野さんの表現のルーツが見えてくるような一冊。写真はもちろん、文章の一文一文が、詩を読んでいるようで美しい。

種まきノート-ちくちく、畑、ごはんの暮らし

椿野さんが撮影を担当した、高知県の山間に暮らす布作家・早川ユミさんの初エッセイ。何ともいえない“暮らしのコク”が漂ってきそうな写真は椿野さんならでは。この本の撮影中に出合ったスイカが2009年のカレンダーに使われた。

このページのTopへ
このページの感想を送る