tegamisha

全国で幅広く販売しているわけではないのに、
5度の増刷を重ねている本があります。
約100軒のカフェが掲載されているボリューム、
書き手の思いがこもった文章、
かわいくて見やすくて遊び心のあるデザイン。
驚くべきはこの本が、個人の方が作った
自費出版の本であるということ。
東海地方の“カフェ好き”に圧倒的な支持を得ている
『カフェうらら』が生まれるまでの物語を、
作り手であるこんどうみきさんに聞きました。

|第2回|ハードワークだった出版社時代|

こんどう 大学生の時、古着屋さんでアルバイトをしていて、名古屋の街角でファッション誌のスナップを撮ってもらう機会がよくあったんです。そのうちに東京の編集の人と仲良くなって、食事に行ったり、お手伝いをするようになって。雑誌は昔から好きだったし、その頃から編集者に興味が湧いてきて。もともと何かを作ることが好きだったし、自分で見つけた素敵なお店を友達に教えてあげるのも好きだったし…。写真も好きだし、デザインにも興味があるし、そういう好きなものを全部できるのが編集者かもしれない!って思ったんです。

お手紙 大学の時に?

こんどう はい。それで、卒業して地元の出版社に就職したんです。その出版社が出している雑誌が、グルメもファッションもインテリアもレジャーも、何でも掲載していた雑誌だったので、いろんなことに興味がある自分に合っているかなぁと思って。

お手紙 少ない人数で全部やらなきゃいけないから、地方の情報誌の編集部は大変なんですよね。

こんどう 確かに、激務でしたね。

お手紙 どれくらいの期間働いていたんですか?

こんどう 4年間です。基本的には充実してましたが、正直しんどいことも多々あって、なんでこんな思いしなきゃならないんだって思ったりも…。けれど今思うのは、あの4年間でギュッと働いたからこそ、今の私があるというか…。やっぱり、一生のうちに死ぬ気で働く時はあってもいい気がします。それがないのとあるのではなんか違うかなと思って。

お手紙 その時の経験があるから、今ここまで頑張れるっていう(笑)。

こんどう 家に帰れないことも結構多くて…。仮眠室もなかったから、みんなで床にイモムシみたいになって寝て(笑)。今振り返れば、なんだか合宿みたいで、おもしろい経験だったなぁと思えますけど。

お手紙 相当なハードワークですね。

こんどう でも、人が少ない分、1年目からページをどんどん任せてもらえるのはうれしかったです。やらなきゃいけないことも多かったけど、いろいろなことを覚えられるのは早かったような気がします。

お手紙 うんうん。

こんどう その頃はグルメもやったし、ファッションもやったし、いろんな特集を経験して、2年後からメイン特集のチーフをやることになったんです。

お手紙 2年でチーフ! 週刊の雑誌ですか?

こんどう 月刊です。後輩もたくさんいて、まとめなくちゃいけなくなって。本当に胃が痛かったです(笑)。

お手紙 それで、4年間頑張って…。

こんどう はい。やっているうちに、この仕事は自分に合っていて、ずっとやっていきたいなとは思ったんですけど、仕事を一通り覚えて、同じようなテーマの特集を繰り返し作ったりしているうちに、フリーランスの編集者・ライターという道に興味がわいてきました。あと、どこの出版社でも同じだと思うんですけど、営業がらみの記事を作らなくちゃいけないことも多くて、少し息が詰まってきたというか、欲求不満になってきたというか。だから、フリーになったら、この溜まったモノを発散できるようなものを絶対作ろう! と思っていて。『カフェうらら』は、会社を辞める1年前くらいから作りたいと思っていましたね。

お手紙 これだけのものを作るとお金も結構かかりますよね。会社に提案して作ろうとは思わなかったんですか?

こんどう 思わなかったですね。とにかく、自分で作ればすべて自由に作れるじゃないですか(笑)。お金も、忙しすぎて使う暇も全然なくて、ある程度貯まっていたんです。あとは、自分で作る以外のやり方がわからなかったんですね。他の出版社に売り込みに行くとか…。

お手紙 会社にいた時は特集のチーフをやっていても、自分が好きなように作れたわけではなかった…?

こんどう そうなんです。例えば、カフェの特集も2年連続で担当したんですが、やっぱりすべてを思うようには作れない。自分の好きなものだからこそ、自分の好きなページが作れないことがすごいつらくなってきちゃって…。好きなことを仕事にすると、妥協できない苦しみというのはありますよね。

お手紙 うんうん。

こんどう 自分がとても好きなお店に、「情報誌だしちょっと…」と、取材を断られることも多くて。

お手紙 それはすごいショックですよね。

こんどう はい。

お手紙 そういうストレスが少しずつ、こんどうさんの中に溜まっていったんですね。

こんどう 雑誌のデザインとかもちょっとなあって…。いろいろ、溜まっていましたね(笑)。

次回へ続きます。

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