tegamisha

全国で幅広く販売しているわけではないのに、
5度の増刷を重ねている本があります。
約100軒のカフェが掲載されているボリューム、
書き手の思いがこもった文章、
かわいくて見やすくて遊び心のあるデザイン。
驚くべきはこの本が、個人の方が作った
自費出版の本であるということ。
東海地方の“カフェ好き”に圧倒的な支持を得ている
『カフェうらら』が生まれるまでの物語を、
作り手であるこんどうみきさんに聞きました。

|第3回|カフェ以外のテーマも考えた|

お手紙 会社を辞めるときはもうすっぱり…?

こんどう 辞めた後のことを考えると、不安も大きくてすごく悩みましたね…。いろいろ学ばせてくれた会社にも感謝していましたし。でも、最後の方は、なんだかもう体も心も疲れてきちゃって、これは辞めなきゃなって思って。結局、4年間働いて、2006年の2月に辞めたんです。

お手紙 その時にはもう『カフェうらら』を作ることを決めていたんですか?

こんどう 絶対、というわけではないですね。カフェも好きだけど、旅も好きだから、旅の本も考えたり、まったく別のテーマの本も考えたんですよ。それで、いくちゃん(いくたけいこさん)にも相談をして。

お手紙 いくちゃんとは、プライベートのお友達だったんですか?

こんどう 会社の仕事で知り合ったデザイナーさんだったんです。私より少し年上だけど、性格がとても合って、いくちゃんだけは、私が「こうしたい」っていうのを、一瞬でわかってくれたんです。デザインをやってもらうなら、この人しかいないなって思っていました。

お手紙 うんうん。

こんどう でも、この本を作りたいっていくちゃんに切り出す時はすごい緊張したんです。こんなにも分かり合えるデザイナーさんは他にいなかったし、もしいくちゃんに断られたら作れないと思っていたので。それで話をしたら、いくちゃんも私と同じような思いを持っていたんですね。

お手紙 というと?

こんどう いくちゃんは、余白を生かした素敵なデザインをするんですけど、仕事では雑誌に限らず「余白はいらないから情報を詰めて詰めて」、みたいな感じの発注が多かったらしく…。

お手紙 いくちゃんにもモヤモヤがあったんですね。

こんどう そうなんですよ。でも、いくちゃんは私より大人だから(笑)。割り切ってやっていたというか。結婚もしてるし、何かをやりたいけど諦めている部分があったらしくて…。なので、デザインをお願いをしたら、とてもやりたがってくれて。私はそれが本当にうれしくて。それで、会社を辞めて、2か月くらい休憩してから、制作に取りかかりました。

お手紙 話は戻りますが、カフェの本にしようっていう決め手は…?

こんどう やっぱり、自分がお茶をすることが好きだし、疲れやすいので休憩することも好きだし(笑)、純粋に好きなものは、と自分に問いかけた時にカフェだったんですね。それと、前の会社でカフェの特集をやっている時に、紹介できていないお店が自分の中にいっぱいリスト化されていて、それを消化したい気持ち、というか…。読者の人も、知らないお店を知りたいっていう気持ちはあると思うし、自分がお店をたくさん知っているうちに作りたいっていうのもありましたね。

お手紙 蓄積された情報を古くならないうちに出したいと…。

こんどう 今だったら、そんなに新しさばかり求めなくてもよかったかな、とも思えるんですけど、その時は情報誌の会社を辞めたばかりということもあって(笑)。

お手紙 情報誌を作っていた時も、カフェ特集は人気があったんですか?

こんどう はい。人気でしたね。なんであんなに人気があるんでしょう?

お手紙 うん、たしかに僕もカフェ特集にはだいぶ助けられました(笑)。

こんどう 作るからにはたくさんの人に見てもらいたいから、興味を持ってもらえる内容が良いかな、とも思っていて。出版社時代に、「売れる本を作りなさい」ってよく言われていたので、そういう本を作らなくちゃいけないっていう考えが自分の中のどこかにあったのかもしれませんね。あと、会社を辞める半年ぐらい前に、カフェ特集を組む機会があったんです。その時に、私が一度の訪問で恋に落ちた、多治見にあるカフェに取材をお願いしたんですけど、そのカフェが取材を全部お断りしていたお店で。情報誌とかは特に…。その時は諦めたんですが、そのお店を紹介できたらな、というのもきっかけとしては大きかったです。

お手紙 ちなみになんていうカフェですか?

こんどう “ほ”がつくカフェです(笑)。

お手紙 川沿いにあるお店ですよね(笑)。『カフェうらら』に載ってますよね。

こんどう 改めて取材をお願いした時に、そのカフェの店主が、「個人で作るということでしたら、ぜひ協力いたしますよ」と言ってくださって。取材に行った時には、何品も料理を作ってくれていました。たくさん並べてくれて…、とても嬉しかったですね。

次回へ続きます。

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