tegamisha

全国で幅広く販売しているわけではないのに、
5度の増刷を重ねている本があります。
約100軒のカフェが掲載されているボリューム、
書き手の思いがこもった文章、
かわいくて見やすくて遊び心のあるデザイン。
驚くべきはこの本が、個人の方が作った
自費出版の本であるということ。
東海地方の“カフェ好き”に圧倒的な支持を得ている
『カフェうらら』が生まれるまでの物語を、
作り手であるこんどうみきさんに聞きました。

|第7回|みんなに励まされて|

お手紙 すごく細かい話になるんですけど、フリーになってから取材を始めましたよね。例えば初めてのお店にアポを取るときって、どういう言い方をしてました?

こんどう 説明がすごく難しいんですよね。なんて言っていたかな…。簡単に言うと、編集とライターをしている者です。カフェの本を出したいから取材をお願いしたいのですが、という感じですね。この段階で、いいですよって言ってくれるお店も多かったですし、企画書を送ってほしいっていうお店ももちろんありました。断られたお店もほんの少しありましたね。アポを取る時は結構不安でした。会社にいた時は、デスクに座ってどんどん電話をかけていって。仕事って割り切ってやっていました。家だと、考えてしまうことも結構あるし、どうやって自分を説明しようとか…。

お手紙 でも、ほとんど断られなかったって、すごいことですよね。

こんどう はい。そういう意味でも、人に恵まれていたんだな、と思います。ただ、1軒だけ「どんな本なの?」って厳しく質問を受けたことがありました。もちろん企画書はお渡ししましたが、その時はこんなイメージで作りますって見せられるものがまだない状態で。言葉で説明するのもすごく難しいし…。

お手紙 初めての本はエネルギー使いますよね。特に個人でやるとなると。

こんどう まだ、直接会って交渉した方がやりやすいですね。電話は難しいですよ。

お手紙 そうですね。顔を合わせた方が、話しやすいですよね。電話だと、「自分はかなり怪しい人間に思われているのではないか」って思いながら話している時がありますよね(笑)。

こんどう ありますね(笑)。この間、企画書を見てみたら、今読んでみるとすごく怪しいことを書いていた…。「以前からの夢であった…」とか。

お手紙 熱いけど、ちょっと怪しいかも!(笑)

こんどう それで、「以前伺って、お料理がとてもおいしく、ゆったりと過ごさせていただきました。ですので、本を作る際にはぜひ掲載させていただきたいとずっと思っておりました」って。あと、旅先で訪れたカフェを紹介している章があるんですけど、そこは取材に行かずに、ほとんど旅行に行った時にプライベートで撮らせてもらった写真を掲載しているんです。正直、掲載を嫌がられるお店も多いかなと思ったんですけど、みんな電話だけで、「いいですよ。原稿出来たら見せてくださいね」ってあっさり言ってくださって。それが意外でした。

お手紙 当初、2006年の8月に発行予定だったわけですよね。それがだんだん延びていくうちに、途中でやめようかな、とか落ち込んだりしたことはありませんでしたか。

こんどう やめようかなとは思わなかったですけど、落ち込んだことはたくさんあります。仕事を断って自分の本を作って、何やってるんだろうって思う時もありましたね。でも、落ち込んだり立ち止まったりした時は、お店の人達が本当に応援してくれて。発行予定が延びることで、お詫びのFAXを出したんですよ。そうしたら、励ましのFAXが返ってきて。だから、お店の人達が応援してくれるのと、そんな皆さんに迷惑をかけたくないっていう気持ちで進んでいったんだと思います。

お手紙 うんうん。

こんどう あとは何がいちばんつらかったかな…? でも、これをもう一回作ってくれって言われたら結構しんどいですね(笑)。それくらい、大変でした。

お手紙 取材の時に、たくさん写真を撮ったと言っていましたよね。その中から使う写真を選ぶ時とか大変じゃありませんでした?

こんどう しんどかったですね(笑)。デジカメの画像を整理するのがすごい苦手で。なんでこんなに撮っちゃったんだろうって。

お手紙 あの作業は、軽いストレスですよね。カメラマンさんの写真だったら上手だから、選ぶのも楽しいんですけど。

こんどう 自分の写真を客観的に見ようとしても、気持ちが変に入っちゃっていたりして、選びにくいんですよね。本当に。

お手紙 いくちゃん(デザイナーのいくたけいこさん)は一緒に写真を選んでくれたんですか?

こんどう 大体私が素材を決めて、いくちゃんにこれをメインに使ったらどうかとか、この位置にしたらどうかとか話すんです。いくちゃんは本当に素晴らしくて、そうすると一軒のカフェにつき何パターンか用意してきてくれるんですよ。結構、細かい所でも、パターンをいくつか作ってきてくれて「どれがいい?」って選ばせてくれたりして。二人とも事務所を持っていなかったので、一緒に喫茶店に行って、バーって広げて選んでいましたね。

次回へ続きます。

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