tegamisha

全国で幅広く販売しているわけではないのに、
5度の増刷を重ねている本があります。
約100軒のカフェが掲載されているボリューム、
書き手の思いがこもった文章、
かわいくて見やすくて遊び心のあるデザイン。
驚くべきはこの本が、個人の方が作った
自費出版の本であるということ。
東海地方の“カフェ好き”に圧倒的な支持を得ている
『カフェうらら』が生まれるまでの物語を、
作り手であるこんどうみきさんに聞きました。

|第8回|パートナーのいくちゃんの力|

お手紙 この本で、すごくいいと思うのは、プロっぽさと手作り感が同居している所だと思うんですよ。たとえば表紙の型抜きなんて、プロの編集者やデザイナーも、やりたいなって思っているけど出来ないんですよね、予算の問題とかいろいろあって。それをやっているのがすごい。

こんどう その部分は、絶対やろうって最初から決めていたんですよ。本を作る一年くらい前からかな、本を作るなら型を抜こうって(笑)。

お手紙 いくちゃんもすごく楽しかったんじゃないですか?

こんどう そう言ってくれていました。でも、1人で112ページをデザインするのは大変だったと思います。デザイナーさんて、写真とか素材選びまでなかなかやってくれないですよね。でも、いくちゃんはいろいろ一緒にやってくれるんです。ページの地にスキャンして使っている布も、ネットでアンティークの物を取り寄せてくれて。

お手紙 へぇー!

こんどう 刺繍も探してきてくれて。本当は自分達で刺繍をして、それをスキャンして使いたかったんですよ。でも時間がなくて…、これもいくちゃんが見つけてきてくれました。

お手紙 これ、すごいかわいいですねー。

こんどう いくちゃんも元々乙女っぽいのが好きで集めていて。でも、情報誌や広告ではあまり“乙女”は求められていないから…。

お手紙 この本にいくちゃんの乙女が凝縮されたんですね。章ごとにデザインコンセプトがあって、それがすごく気が利いていますよね。例えば最初の章は丸いトリミングを使って道案内をしたり。

こんどう デザインはあまり悩まず進めていけたんですが、最後の方で、色がきつすぎる所とか、頑張りすぎちゃった点が気になってきて。シンプルにしたいと思ったので、最後の最後に変更しました。色を抑えたり、模様や切手の数を減らしたり。そうしてよかったと思います。

お手紙 じゃあ最初はもっとこってりしていたんですか?

こんどう 色のトーンなどがちょっと強かったですかね。

お手紙 確かにこれ以上だとちょっと強いかも。これはいい塩梅ですね。

こんどう これを作り始めたのが26歳の時なんですよ。でも好みって少しずつ変わっていきますよね。シンプルなのが好きになったり。この10か月の間にも、自分の中の「こうしたい」っていう気持ちがちょっとずつ変化していたように思います。

お手紙 この3章の切り抜きもかわいい。“乙女切り抜き”ですね(笑)。しかもちゃんとラフに書いてある通りに切り抜いてある!

こんどう 乙女切り抜き(笑)。でもこれも難しかったんです。素人だから、切り抜きにする写真を映り込みや影などなく撮れるかなぁって。紙にも助けられましたね。

お手紙 紙は印刷会社にあったもの? それとも持ち込みですか?

こんどう すべて印刷会社のものですね。何千枚という見本があって。紙ってすごく不思議で、よく似ているのに全然値段が違ったりして。それと、最初は印刷会社の人にイメージをなかなか共感してもらえなかったので、いくちゃんと二人で延々と居座って悩んでました。あと、色校正はお金がすごくかかるから、全部のページを出すことができなくて。

お手紙 ドキドキしますね。

こんどう 出来上がるまで、気が気じゃなかったです。

お手紙 写真と文字の抜き合わせとか、怖いですよね。

こんどう 本当に。ただの青空だったらよかったのに、とか(笑)。写真も、素人の撮影だから結構心配していたんですけど、案外ちゃんと印刷されていてホッとしました。あとは…この、ちっちゃい地図を作るのが大変でしたね。

お手紙 地図はいくちゃんの担当ですか?

こんどう 私です。私が取材に行ってるんだから、私が作った方がいいと思って。Illustratorで頑張って作りました。

お手紙 すごい。こんどうさん、なんでもやるんですね(笑)。あと、取材をしたカフェへの原稿確認も大変じゃないですか? ひとりだと。

こんどう 軒数があるので、時間がかかりました。家がFAXでぐちゃぐちゃになりました(笑)。

お手紙 トータルで何軒なんですか?

こんどう 扱いが小さいカフェも合わせれば105軒なんですけど、取材した所はもうちょっと少ないですね。

お手紙 なるほど。でも、写真を撮って、取材をして、地図も描いて…。

こんどう ひとつ終わった! と思っても、すぐ次にやることがあって。終わりが見えなかったんですよ、ずっと。

次回へ続きます。

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