tegamisha

最近、書店や雑貨店などで目にすることが
多くなってきたリトルプレス。
リトルプレスとは、個人や団体が自らの手で制作し、
発行、販売までを行う冊子のことをいいます。
そんなリトルプレスの面白さに
いち早く目をつけた女の子がいます。
彼女の、かわいいモノを見つける目、
ちょっとセンチメンタルな文章、
キャッチーなデザインは話題となり、
乙女たちの間で絶大な人気に。
1年ぶりに発行される「ユルリナ05」の発売を
直前に控えたshachiさんが、
1人で本を作ることへの思いを綴つづります。

|第4話|自分の手で売ること|

前回までは、主に1冊の本を「つくる」ことをあれこれお話ししてきました。構想からはじまり、取材、執筆、デザイン、そして印刷所で印刷と製本をしてもらえば、いよいよ念願のリトルプレスが完成! 印刷所から届いた大きなダンボール箱を開けると、今まであたためてきた自分の思いが「本」というかたちになって目の前に現れ、なんとも言えない気持ちで胸が高鳴ります。

しかし、実はこれからがリトルプレスづくりにおいての第2のスタート! 本を作ることでうっかり満足してしまいがちですが、世に出してたくさんの人に読んでもらわないとただの自己満足だけで終わってしまいます。でも、どうすればお店に置いてもらえるのか、手にとってもらえるのかはまったくの未知の世界…。出版社で編集の仕事をしていた頃は、本を作ることさえすれば流通ルートに乗って、必ず発売日には書店に並んでいたのだから。でも、何もかも自分で行うリトルプレスは、もちろん売るのも自分の手で行わないといけません。

自分で作ったものを自分で売るのは、正直とても勇気がいります。自分が好きなものを誰かにすすめるのは得意でも、自分が作ったものとなると、そう自信満々にすすめることなんてなかなかできませんよねえ…。でも、どんどん世に出していかないと、せっかく頑張って作った意味がなくなるのも確か。時間を割いて取材させていただいた方々にも申し訳ないし、なにより『ユルリナ』の制作はすべて売上げから捻出しているため、しっかり売ってお金にしないと正直なところ死活問題(!)でもあります。そこで創刊号の『ユルリナ01』は、わたしが当時住んでいた地元・長野県についての内容がほとんどだったので、まずは取材にご協力いただいた地元のお店で販売してもらえるようお願いしました。なかには、「50冊欲しい!」「あのお店にも頼んであげるよ」など、予想もしなかったうれしい反応ばかりで思わずびっくり。自分が好きな東京や関西のお店にも数軒お願いをして、創刊時には7軒のお取扱店が決まりました。

しかし、いざお店で販売してもらうとなると、さまざまな取引条件があることを知りました。まず、お店で販売してもらうには「委託販売」と「買い取り販売」の2種類があります。「委託」の場合は、ある程度の期間を決めて販売してもらい、売れた分だけお金をもらえ、残った在庫は返品になります。「買い取り」の場合は、売れる売れないに関わらずお金をもらえます。また、納品部数、掛け率(卸し値)、精算方法、振込手数料や返品時の送料などをどちらが負担するかなど、細かいこともしっかり交渉しないとはじまりません。お店から具体的な条件を提示されることもあれば、「そちらの取引条件は?」と聞かれることもあります。当時のわたしは案の定、「取引条件って???」といった調子。印刷代のモトさえとれればいいや〜と軽く考え、明らかに自分が不利な条件を自ら叩きつけてしまったことも…。取引条件については、お店や作り手によっても実にさまざま(だと思います)。本づくりは印刷代だけではなく、取材費やもろもろの材料費などもかかることなので、お店の方と相談し合うなどじっくり決めていくことが大切です。

そして、お店に置いてもらうのと同時に、自分のホームページでも通信販売をはじめることにしました。日頃からホームページで日記などを綴っていたのですが、ここに訪れてくれる方ならきっと『ユルリナ』を楽しんでくれるかな…という少しの自信(?)を持って。ありがたいことに開始直後からたくさんのご注文をいただいて、創刊号は1ヶ月ほどで手持ちの在庫がなくなりました。

通信販売は、発送時の送料と振込手数料を読者の方にご負担いただくので、とても心苦しい販売方法でもあります。でも、直接読者の方とやりとりできる通信販売は、お店のないわたしにはとても貴重で大切な機会。メールの返信に本の発送、振込の確認などをひとりで対応するのはなかなか大変な作業ですが、メールで感想をいただくなど反響がダイレクトに伝わるのも通信販売の醍醐味だと思います。ときには読者の方から励ましのメールをいただいて、次号への活力をもらうことも。 全国各地の方々に『ユルリナ』を手に取っていただけたら…と、ひそかな野望を抱いて今日も頑張ります。

次回へ続きます。

shachiさんからのお知らせ

[ 最新号のお知らせ ]

ユルリナ05  4月24日発売

¥600

特集:ひとかけらの焼菓子と日常

※ユルリナ05は、お手紙商店にてお買い求めいただけます!


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