tegamisha

最近、書店や雑貨店などで目にすることが
多くなってきたリトルプレス。
リトルプレスとは、個人や団体が自らの手で制作し、
発行、販売までを行う冊子のことをいいます。
そんなリトルプレスの面白さに
いち早く目をつけた女の子がいます。
彼女の、かわいいモノを見つける目、
ちょっとセンチメンタルな文章、
キャッチーなデザインは話題となり、
乙女たちの間で絶大な人気に。
1年ぶりに発行される「ユルリナ05」の発売を
直前に控えたshachiさんが、
1人で本を作ることへの思いを綴つづります。

|第5話|ひとりの楽しさ、ひとりの厳しさ|

『ユルリナ』を作りはじめるようになってから、「どうして、ひとりなんですか?」と聞かれることがよくあります。正直言えば、創刊当時のわたしには一緒に本づくりができる仲間が身近にいなかったから…が理由のひとつでもありますが、「つくりたいときにつくる」というコンセプトを決めたときに、「これはもう、ひとりでやるしかないな」と固く決心しました。わたしにとっての『ユルリナ』は、今やライフワークそのもの。毎日の家事や仕事の合間に、決して無理せず自分のペースで長く作り続けていけるように、「ひとりで作る」という道を選びました。

でも、ひとりで本を作ることはなかなか大変なことでもあります。すべての作業をひとりで行うので、制作期間が長くかかること。それと当たり前なことですが、何をどうするかをすべて自分ひとりで決めないと前に進みません。この「自分で決める」ことは楽しくもあり、意外と苦しい作業だったりします。

仲間がいれば相談し合ったり、十分な会議を重ねた上で企画ができあがっていくと思いますが、わたしの場合はひとり脳内会議のみ(笑)。GOサインを出すのもダメ出しをするのも自分なので、ネタ帳にアイデアを書いては消し…の連続です。出版社で働いていた頃は身近に相談相手もいて、編集会議で決まったことに真っすぐ突き進んで行けばよかったのですが、『ユルリナ』においてはすべての判断も責任もひとりで請け負わなければなりません。「わたしはおもしろいと思うけれど、みんなはどう思うかな…」という不安を常に抱えながらも、「これでいいんだ!」と自分だけを信じて前に進むのはなかなか勇気がいります。そのため、出来上がった本を世に出すときは逃げ出したくなるくらい緊張します。本づくりに対する意識や責任感は、『ユルリナ』を作りはじめてからより強く感じるようになりました。

…なんだか「ひとりは大変なのよ!」と訴えているようですが(苦笑)、いやいやもちろん、楽しいこともたーくさんあります。すべてひとりで決められる分、好きなことが100%できる楽しみ。取材先や読者の方、お取扱店の方とも直接お付き合いさせていただくので、『ユルリナ』を通してたくさんの出会いが生まれていく喜び。大変なこともたくさんありますが、その分、喜びも楽しみもひとりじめできるのがひとりならではの特権です。

『ユルリナ』を創刊してから、本当にたくさんのうれしい出会いがありました。新しい出会いがあるたびに、次号の企画もどんどん浮かんでいきます。きっと『ユルリナ』を作っていなければ、今とは180度違った人生を歩んでいたような気がします。考えてみれば、ここ、「今日のお手紙」で連載を持たせてもらうこともなかったですよねえ…(しみじみ)。もともと友達が少なかったわたしですが、『ユルリナ』を通してできた友達もたくさんいます。そしてなによりうれしいのが、読者の方からのお手紙やメール! お会いしたことがない方ばかりなのに、ごていねいに感想を送ってくださるのが本当にうれしいです。自分が作ったものに直接感想をいただけるのは、作り手としてこの上ない幸せだと思います。

なかには、『ユルリナ』を可愛くスタイリングした写真を送ってくださったり、誕生日にはバースデーカードやプレゼントを送ってくださる方もいて、思わずひとりで興奮することも! 自分が作りたくて作っている本を、読みたいと思ってお金を出してくださること、そして感想を送ってくださること…本当に本当にありがたいです。くじけそうになるたびに、いただいたお手紙を読んで元気をもらっています。これからきっと、わたしにも家族が増えたりさまざまな環境の変化があると思いますが、いつまでも『ユルリナ』とともに年をとっていけたらいいなと思っています。

さて、今日でこの連載も最終回となりました。わたしが『ユルリナ』を作りはじめた理由から1冊の本ができあがるまで、そしてひとりで本を作る楽しみなどをお話ししてきました。この連載を読んでくださった方の中には、「リトルプレス」という言葉をはじめて知った方もいれば、「わたしも作ってみよう!」とひそかに決意を固めた方もいると思います(いるといいな)。ひとりでコツコツと、気まぐれペースで発行している小さな本についてのお話でしたが、みなさんの何かのきっかけになるとうれしく思います。ありがとうございました!

shachiさんからのお知らせ

[ 最新号のお知らせ ]

ユルリナ05  4月24日発売

¥600

特集:ひとかけらの焼菓子と日常

※ユルリナ05は、お手紙商店にてお買い求めいただけます!


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