tegamisha

最近、書店や雑貨店などで目にすることが
多くなってきたリトルプレス。
リトルプレスとは、個人や団体が自らの手で制作し、
発行、販売までを行う冊子のことをいいます。
そんなリトルプレスの面白さに
いち早く目をつけた女の子がいます。
彼女の、かわいいモノを見つける目、
ちょっとセンチメンタルな文章、
キャッチーなデザインは話題となり、
乙女たちの間で絶大な人気に。
1年ぶりに発行される「ユルリナ05」の発売を
直前に控えたshachiさんが、
1人で本を作ることへの思いを綴つづります。

|第1話|「ユルリナ」をはじめた理由|

はじめまして。『ユルリナ』という小さな本を作っているshachi(しゃち)と申します。「shachi」は学生時代からの呼び名でついその流れで名乗っていますが、本名は「さちこ」です。…まあ、どうでもいいですね。今日から5回に渡って、わたしが制作している『ユルリナ』のことなどをつれづれと綴りたいと思います。お付き合いのほど、よろしくどうぞ。

さて。『ユルリナ』は、わたしが25歳の時から気まぐれペースで発行している小冊子です。地元長野県の情報誌の編集部を3年ほどで辞め、この先どうしようかなあ…と悩んでいた時に作りはじめました。実はわたし、高校時代から「雑誌の編集者になる!」と決めていたほど、編集者は憧れの職業でした。大学時代も雑誌編集のスクールに通ったり、雑誌の読者モニターになってみたり…とにかく、編集者への道まっしぐら。ところが、いざ念願の編集者として働くようになったものの、3年ほどで自ら退いてしまったのです。もちろん、仕事は楽しくてとてもやりがいがあったのですが、“情報誌”という媒体の流れに戸惑いを感じはじめてしまったのが、現場を退いた理由のひとつでした。  編集の仕事に慣れはじめた頃、取材先やふらりと訪れた先で「いいな」と思う場所やものや人に出会うたびに、“情報"としてではなく、その空気感や匂いを伝えたいなと思うようになりました。「このお店の○○が人気で、値段はいくら」という紹介ではなく、もっと時間をかけて取材をして、自分が感じたことを自分の目線で自由に表現したいな…と。でも、今の環境では正直厳しい。じゃあ、そういう雑誌を作っている編集部に転職…? あれこれ考えては悶々としていたのですが、ある日ふらりと訪れたお店で「リトルプレス」という存在に出会ってしまったのです。

「リトルプレス」とは、出版社ではなく個人やグループで発行し、大手の流通ルートを通さずに販売する本のこと。いわば自費出版のようなもので、雑貨店やカフェなどを中心に置いている小冊子です。商業誌と違って制約にとらわれず、体裁や内容などを自由に決めて作ることができます。そして、たとえ個人で発行している本といえども、そのクオリティの高さにはびっくり! ええっ、個人でもこんな立派な本が作れるの? どうやって販売するの? 「本を作るには出版社に入らないといけない」という私の固定観念が、リトルプレスを知ってからガラガラを音を立てるように崩れていきました。それからはもう、あらゆるリトルプレスを買い集めてはひとりで興奮し、「いつか私も作りたいなあ」とぼんやり夢を見るように。気がつけば、あれほどなりたかった編集者の仕事を辞めていたのでした。

でも、仕事を辞めたからといってすぐに制作に入れたわけではありません。編集経験はあれども、デザインはできないし写真の腕もイマイチ…。そして、わたしにとってのリトルプレスづくりは“趣味”という位置付けなので、そろそろ新しい仕事も探さなければいけない。やりたい気持ちはあるのに、すぐには行動に移せないもどかしさばかりが積もって、精神的にもとても苦しい時期を過ごしました。でも、はじめるからには長く続けたいし、とことん時間をかけて満足のいくものを作りたい!という気持ちはいつでも同じ。そこで、定時で帰れる編集の仕事をしながら、今の自分に一番足りない「デザイン」の基礎を勉強してみようと思いはじめました。デザインさえ覚えれば、私にもなんとか本が作れるかも…? そんな淡い期待を胸に。

早速、派遣社員として編集の仕事に復帰し、週1ペースで近所のデザインスクールに通いはじめました。はじめて触れるデザインの世界にドギマギしながらも、週末には少しずつ取材をスタート。実は、当時のわたしには東京に住む彼がいたのですが(今の旦那さんです。笑)、彼がそこそこ写真が上手だったので急遽、撮影担当として取材に同行してもらうように。今思えば、あの頃はまさに「デート=取材」だったような…ハハ。今の『ユルリナ』とわたしがあるのも、どんな本が出来るのかわからないにも関わらず協力してくれた取材先のみなさん、そして、文句ひとつ言わずに付き合ってくれた彼のおかげだなあとしみじみ思います。そして出来上がったのが、記念すべき1冊目となる『ユルリナ01』という小さな本です。

長くなってしまいましたが、これがわたしの『ユルリナ』をはじめた理由です。何か新しいことをはじめるにはとても勇気がいりますが、とにかく「自分で本をつくりたい!」という勢いだけではじめました。ああ、学生時代は「バリバリの編集マンになる!」と思っていたのに、人生って本当に謎だらけですなあ。

次回へ続きます。

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