月刊手紙舎7月号で花田菜々子さんがセレクトした「テンション上がる! 元気が出る! 旅の本」。なかなか好きなところに行けない今、旅気分を味わえる(むしろ、余計に旅に出たくなる?笑)本が満載でしたが、さて、同じテーマで手紙社の部員が10冊を選んだなら? 選者である部員のコメントともにお楽しみください!
✳︎ここで紹介した10冊を、手紙舎つつじヶ丘本店の一角に準備しました。どなたでも読むことができますので、カフェタイムのお供にぜひ!
1. 『世界はもっと!ほしいモノにあふれてる ~バイヤーが教える極上の旅~』
監修・協力/NHK「世界はほしいモノにあふれてる」制作班,発行/KADOKAWA
表紙に散りばめられているもののなかに「これ素敵だな」と感じるものがあれば、迷わず手にとって下さい。本を開けば、素敵な装丁、鮮やかな写真の数々、バイヤーさん達の愛情溢れる言葉が溢れています。美しい世界観にため息が出るはずです。
本書は、NHKの番組「世界はほしいモノにあふれている」が書籍化されたもの。旅を通して見つけ出された素敵なモノの数々のお話をはじめ、訪れた各国の魅力も書かれています。
一番の見所といえば、素敵なモノの数々!
とにかく商品と写真が美しい。
「実物見に行きたい!欲しい!」と心動かされます。
バイヤーになったまでの道筋も書かれていて、彼らの人生を辿る旅をしている気持ちにもなれます。
バイヤーさんの想いや考え方は、はっとさせられる言葉も多く、自分自身を見つめ直すきっかけにもなるかも。
この本を読んでワクワクしたら、是非『世界はもっと!ほしいモノにあふれてる2 ~バイヤーが教える極上の旅~』も呼んで下さい。
さらに心ときめくでしょう!
世界を旅する気分で読めたり、バイヤーになりきって読めたり、読めば読むほど楽しめる一冊です。
(選者・コメント:十勝のジャスコ<別名:やすか>)
2. 『ふるさとの手帖 あなたの「ふるさと」のこと、少しだけ知ってます。』
著/ かつお(仁科勝介),発行/KADOKAWA
「あなたの“ふるさと”のこと、少しだけ知ってます」
ラジオから聴こえたこの言葉が気になり、本を手にしました。著者の仁科勝介さんが大学在学中に、日本の全市町村1741箇所を巡った旅の記録の写真集。思わず、自分が住んでいた街からめくってしまいました。
“あたりまえの景色や日常が、日本の大切な日々だと知った”
この一説を意識しながら眺めました。風景、食事、たくさんのエピソード、
そしてなんと言っても印象的なのがカメラ越しの笑顔。マスク姿が当たり前の毎日。人々の素の笑顔からはこんなにも元気を貰えるんだな、とハッとしました。
今と違う街で暮らす事になった時、自由に旅が出来るようになった時。はらりとめくって訪れるのが楽しみになる。そんな本だと思います。
(選者・コメント:あんぬぷり)
3. 『瀬戸内国際芸術祭2019 公式ガイドブック』
監修/瀬戸内国際芸術祭実行委員会,北川フラム,発行/美術出版社
瀬戸内国際芸術祭は、三年に一度開催される現代アートの祭典である。
公式ガイドブックには、世界中から集まった野外アート・室内展示のアート・ダンス等のパフォーマンスが、瀬戸内のどの島で観られるか掲載されている。アートだけではなく、交通アクセス・宿泊情報・美味しいもの・忘れちゃいけない島の歴史・開催者の想い……が網羅されているので、旅行前の予習も、旅行後の復習も楽しい一冊だ。
スケッチの状態で紹介されているアート作品もチラホラ載っているので、「あれがこうなったのか」「全然違うじゃないか」「こんな想いで」と、完成した作品と見比べてニヤニヤするのも旅の醍醐味である。
次の開催は2022年。案外、すぐそこまで来ている。
(選者・コメント:デンジャラス・S)
4. 『旅するお菓子 ヨーロッパ編』
著/山本ゆりこ,発行/リベラル社
ヨーロッパ16ヵ国のスイーツ文化と代表的なお菓子のレシピを紹介した一冊。スイーツを通してその国の文化や習慣、歴史等を知ることが出来ます。美味しいスイーツレシピも沢山掲載されていて手作りしたお菓子を食べながら旅をしている気分に浸れます。
日本で買えるヨーロッパのお菓子の紹介もされていて、パッケージもおしゃれ。甘い甘いお菓子を食べながらヨーロッパの石畳をゆっくりお散歩しているかのようです。
(選者・コメント:伊万里のともこ)
5. 『神さまの目覚まし時計』
著/大貫妙子,発行/KADOKAWA
大貫妙子さんのケニア旅行のエッセイです。「神様の目覚まし時計」というタイトルに惹かれ、学生時代に読んで以来とても大切な一冊です。
出版されたのは35年前ですが、色褪せないメッセージに読むたびに背筋がぴっとします。本の中のケニアは、自然体でありのままが美しく、動物も人々もとても魅力的です。
ところどころにご自身のスナップ写真も載っていて素敵。実際に訪れてみたくなる場所ばかりです。全編を通して大貫さんの世界観を感じられ、大貫さんの音楽とケニアの旅がかさなります。
人間の世界はなんだかざわざわしているけれど、動物たちはありのままに自然体で暮らせているといいな。
(選者・コメント:hidemi.t)
6. 『ヨーロッパのドボクを見に行こう』
著/八馬智,発行/自由国民社
表紙を見ると一瞬、前衛的な彫刻作品の写真集かな? と思いそうな一冊、しかしタイトルは、「ヨーロッパのドボクを見に行こう」。
想像のはるか斜め上を行くヨーロッパのドボク(土木構造物や産業施設)。広い土地や各国の風土を利用して設計されたそれらは、機能性と実用性、そして芸術性を兼ね備えた魅惑の作品でもある。日本ではありえないビックリスケールで造られた橋、建物、ダム、道路……それはまるでSF映画のよう。
美しく壮大なドボクの写真がギッシリ詰まった一冊は、きっとあなたをトリコにする!!
(選者・コメント:澤田麻里絵<マリー>)
7. 『一〇〇年前の世界一周』
著/ボリス・マルタン,ワルデマール・アベグ他,発行/日経ナショナルジオグラフィック社
16歳の誕生日にカメラを手にしたドイツ少年、ワルデマール。無風の湖面に小石をポチャリ、広がる波紋、旅の始まりはここからかな。
今の私たちが思うより何百倍も距離を感じる世界一周。出版する目的もなく記録された写真。80歳を過ぎ、世を去る前にエッセイを残してくれたことに感謝している。
当時の風景、文化はもちろん、庶民の姿、瞳、空気。日本人とはどんな民族? 私って何者? ただ「美しい写真集なのです」とはちょっと違う……
あまり使いたくないフレーズだけどティッシュの用意がベター。熱く熱くディープに枠からはみ出るパッション! 旅! イェーイ!
(選者・コメント:あお)
8. 『島へ免許を取りに行く』
著/星野博美 ,発行/集英社インターナショナル
人間関係がボロボロになり、愛する猫にも旅立たれ、憔悴した日々を送る星野さんは、このいやな流れを断ち切ろうと、合宿で免許を取る決心をする。その時、彼女は40代……なぜ免許? なぜ合宿?
とにかく彼女は南を目指す。長崎の五島列島にある小さな教習所。そこには釣り好きの教官と、馬と犬と山羊がいて、そして目の前には海が広がっていた。
優しいけれど評価には手厳しい教官のもと、星野さんの免許への道のりは長い。だけど真面目に前向きに、そして五島での生活を楽しんでいる彼女の姿に、私はニヤニヤしてしまう。かの教官とのやりとりには声を出して笑ってしまいそうなほど。読み終わった時は心がとっても元気になっていて、何かを始めたい気持ちが湧いてくる。そして南の五島に想いを馳せ、モーレツに旅に出たくなるのです。
(選者・コメント:KYOKO@かき氷)
9. 『東京のぼる坂くだる坂』
著/ほしおさなえ,発行/筑摩書房
手紙社の部員になっていなければきっと私はこの一冊に出会っていなかったかもしれない!?
著者は『活版印刷三日月堂』『紙屋ふじさき記念館』などのシリーズで話題のほしおさなえさん。部員限定の【北島家ラジオ】では、さまざまな世界の作家さんがゲスト出演されて貴重なお話が聴けるのです。本書の著者である、ほしおさなえさんもゲスト出演されたのです!!
本書のイラストマップを手掛けているのは、活版印刷と「少し不思議な紙雑貨」で、“紙もの界”で大人気の九ポ堂さん。
幽霊坂、闇坂、狸穴坂…恵比寿のビール坂?! 東京には坂がたくさんある。亡くなるまで坂のある場所ばかり転居を繰り返した父の足跡をたどっていく蓉子。坂には風景がある。坂好きの心をくすぐる一冊です。
(選者・コメント:坂<好き♪>の亜希子)
10. 『旅をする木』
著/星野道夫,発行/文藝春秋
旅と聞くとこの本がすぐに頭に浮かびます。著者の星野道夫さんは写真家で、写真のように自然をそのまま切り取ったような文章がとても素敵です。
時には心に突き刺さり、時にはジワジワと元気にさせてくれます。
本の中でトウヒという木の種子の物語が書かれています。トウヒの種子は鳥によって地面に落とされ、川沿いに根付きます。種子はやがて大木になりますが、川の洪水により倒木し、川に流され海を旅して、はるか遠くの海岸にたどり着きます。そこにキツネが住み着いて、そのキツネを追っている猟師の薪ストーブで燃やされ、そして大気の中でまた旅が始まるというものです。
この本を読むと、いつもと変わらない日常を送っている今も、僕の旅の途中のひとときなんだと気付かされます。
(選者・コメント:たいちろう)