「そろそろお片付けしようか」と声を掛けると、
子どもは消防車が描かれたお気に入りの赤い箱に、一所懸命おもちゃを詰め込み始めた。
その箱には彼の大切なものがたくさん入っている。
ミニカーや石ころやガチャガチャのカプセル等。

それを見てふと、自分が実家のクローゼットの奥にしまい込んでいた箱を思い出した。
おもちゃのおまけ、壊れたトイカメラに、使い終わった香水瓶。
その中身は今思うと雑多なものばかりだけれど、
それらを手にした頃のわくわくした気持ちを忘れられなくて、
捨てようと思ってもなかなか捨てられない。
思い出と呼ぶほどでもない記憶の品々だ。

本展でのモチーフは、
そんな誰かの箱の中に眠っているかもしれないものをイメージした。

(個展「In the Box」に寄せて 原裕菜)



移転後1年を迎える手紙社の書店・TEGAMISHA BOOKSTOREでは、11月6日から約1ヶ月間に渡り、イラストレーター・原裕菜さんの展示を開催いたします。時に大人っぽく、時に可愛らしく、眺めていると時代や空間を飛び越えたような感覚に陥る原さんの作品。瀟洒さも兼ね備えた唯一無二のイラストは、インテリアの一部にも加えたくなる美しさが魅力です。

本展示のために描き下ろされた作品のほか、展示スペースには『BUTTER』(
柚木麻子/新潮社)、『結 妹背山婦女庭訓 波模様』『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(大島真寿美/文藝春秋)、『コンジュジ』(木崎 みつ子/集英社)、『口福のレシピ』(原田ひ香/小学館)、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』(村田沙耶香/KADOKAWA)、『青卵 』(東 直子/筑摩書房)、『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(江國香織/角川春樹事務所)等々、原裕菜さんが挿画を手がけてきた数多くの書籍も並びますので、そちらも併せてお楽しみください。

 

– 原裕菜 PROFILE –

神奈川県出身。パレットクラブスクール修了。2014、2015年THE CHOICE入選、2015年 Gallery House MAYA 装画コンペティション入賞、2016年HIB Gallery ファイルコンペティション入賞。雑誌、広告などを中心に活動し、数々の書籍の装画も手掛ける。
Instagram )@hirona26


【原裕菜個展「In the Box」】
会期:2024年11月6日(水)〜12月2日(月)
会場:TEGAMISHA BOOKSTORE(2023年11月移転オープン)
住所:東京都調布市下石原2-6-14ラ・メゾン2階(TEGAMISHA BREWERY 2階)
アクセス:京王線「西調布駅」より徒歩5分
定休日:火 /祝日は営業、翌日休
営業時間:平日)14:00~20:00      
     土・日・祝)12:00〜20:00
     *11/6より上記の通り営業時間が変更となります。
     (10/30までは平日16:00~21:00 、土・日・祝12:00〜21:00の営業です)
電話:042-440-3477