素朴で侘びを感じさせるような色彩と構成。全てではなく一部を切り取ることでシンボリックに表れてくる建物や看板・サインのフォルム。淡い写実表現の端ばしに、ユニークな作者の視点が浮かび上がってきます。今年が作家としてのターニングポイントになる可能性を秘めたアーティスト・加藤乃梨佳さんの、おそらくこれまでで一番多くの作品が一堂に会する個展をTEGAMISHA ART GALLERYで開催することになりました。
加藤さんの描く対象は、主に工業的に作り出された無機質なもの。その全体像を解体して取り出したデザインが、なんとも言えない存在感を帯びています。“そこを切り取る”ことによって生まれる新しいオブジェ。意表を突かれる視界。よく見かけることもあるモチーフの、いつもは見せない表情を垣間見るような楽しさがあって、しぜんと惹きつけられます。
今回のテーマ「Rough(ラフ)」には、加藤さんの制作における原点的な思想が表れているそうです。それは、建物が持つ個性的な部分や可愛らしい部分、つまり自分なりに「良い」と感じた部分を、切り取って絵にする行為が“作品”というよりも“ラフ”に近い、「感覚的なもので、軽やかなもの」であるという意識。類稀なるセンスによって切り出されたデザイン、そのユニークなフォルムに血を通わせるような“Rough(ラフ)”を、ぜひギャラリーで隅々まで味わってくださいね。
▼加藤乃梨佳(かとう・のりか)
1996年生まれ。東京都出身。女子美術大学ヴィジュアルデザイン専攻卒業。普段はグラフィックデザイナーとして勤務しながら、特徴的な建物や看板のイラストを制作している。
Instagram @akiron_works
【− Rough − Norika Kato Solo Exhibition】
会期 2024年9月19日(木)〜10月6日(日)※月・火定休日(祝日はオープン)
開廊時間 12:00〜18:00
会場 TEGAMISHA ART GALLERY(調布市国領町2-12-19 goodroom residence 調布国領1F)
tel.042-426-4165
*作家在廊日 9/21(土)、22(日)、28(土)、29(日)、10/5(土)、6(日) ※予定
カフェ・TEGAMISHA TERRACE(L.O.17:00)も、ぜひ併せてお楽しみください。