前月の手紙社リスト“本”編で花田菜々子さんがセレクトした「いろんな”なつかしさ”を味わう本10冊」を、手紙社の部員が選んだら? 今回は文字通り「なつかしいー」という声が上がりそうな本を中心に選んでみました。部員のみんなのテキストからは、幼少時の姿が想像できたりしてホロリ……。貴重な本もありますので、ぜひ、お楽しみください。


✳︎ここで紹介した10冊を、手紙舎つつじヶ丘本店の一角に準備しました。どなたでも読むことができますので、カフェタイムのお供にぜひ!



1.『’80sガーリーデザインコレクション』
著/ゆかしなもん,発行/グラフィック社




私の「荒ぶり」の原点は、間違いなくサンリオです。 こじんまりとした、”可愛い”しか詰まっていないショップ。 丁寧にラッピングしてくれるお姉さん。 オマケに付けてくれる「プレミアム」は、立派なお目当て!  お気に入りのものを可愛い缶の中に大事に大事にしまっておく習慣は、サンリオから始まっているのかも? おばあちゃんと出かけた日にコッソリ何か買って貰ったり…… 遠足のお菓子が全部サンリオの子が羨ましかったり…… いい香りの可愛いティッシュやメモ帳を交換したり…… 。そんなサンリオのオマケやグッズが満載の本書。ページをめくると、 きっとあの頃大好きだった「宝物」と「思い出」に、また出会えます。
(選者・コメント:あんぬぷり)



2.『気まぐれコンセプト 完全版 35年分』
著/ホイチョイ・プロダクションズ,発行/小学館



1981年から2016年までの35年分の「気まぐれコンセプト」(週刊ビックコミックスピリッツ連載の4コマ漫画)をまとめた、この本。バブル世代にとっては、作者のホイチョイプロダクションの作った映画「バブルへGO!」さながらの、タイムマシーンに乗った気分になれる一冊です。 当時、時代の流れをつくっていた広告業界の、いわゆる「ギョーカイ」ネタ満載で、その年の「業界のできごと」「ベストCM」「その年のひとコマ」があり、漫画の時代背景も欄外に書かれているので、おもわず、「そんなことあったね〜!!」「こんなひといた!!」と、独り言をつぶやきまくってしまうこと必至。


バブル世代にはなつかしく、そうでない方々にも、それなりに、お楽しみいただけると思います。ちなみに、私は、自分史年表と照らし合わせてみました。4コマ漫画は、かなりキツめのオヤジネタなので、引き気味の方は、時代史部分だけ拾い読みしてもいいかも。
(選者・コメント:ディエゴT)



3.『ニューレトロ イラストレーション』
編集・発行/パイインターナショナル




『ニューレトロ』をテーマに、イラストで “懐かしくて新しい世界”を表現! 昭和60’s〜、漫画、アニメ、映画、 音楽、ファッション、アナログ、ポップ、ネオン、パステル、ポスター、ファンシー、色彩、空気感などを40人の個性あるクリエイター描いていて、思わず「懐かしい」と唸ること間違いなし。クリエイターが影響を受けた作家・作品・カルチャーをテーマにしたインタビューの記事もオススメです。オールカラーの豪華版は、さすが、パイインターナショナル!!
(選者・コメント:三重のtomomi<昭和女子>)



4.『クレヨン王国の十二か月』
著/福永令三,絵/三木 由記子,発行/講談社青い鳥文庫




華やかなイラスト。 キラキラとした美しい世界観。 軽快で引き込まれてしまうストーリー。 クレヨン王国シリーズは、子どもたちにワクワクを与えてくれて、大人たちはワクワクの気持ちを思い出させてくれる、魅力あふれる物語です。 本書は、主人公のシルバー王妃とユカちゃんが、家出したゴールデン国王を探す物語。 家出の原因は、王妃の12の悪い癖。12ヶ月かけて、個性豊かな12の街を行き、12色のドレスを着替えながら、12個の癖と向き合い見直していくという、若干トリッキーで贅沢で愉快な長旅。


12個の悪い癖は「私も子どものころに、この癖あった!」とか、「今でも当てはまるかも?」と心当たりのある方もいるのではないでしょうか(ちなみに私は、ちらかしぐせ、おねぼう、ほしがりやなど…いまだに直りません汗) 。本書を読んだら、次は「クレヨン王国新12ヶ月の旅」も是非読んでみて下さい。 より世界観に引き込まれて、他のクレヨン王国シリーズも読みたくなるでしょう!
(選者・コメント:クレヨン王国グッズを集めていたジャスコ)



5.『ぼくらの時代』
著/栗本薫,発行/講談社




このユニークな推理小説が書かれたのが1978年(江戸川乱歩賞受賞)。 主人公は、長髪でバンドをやっている大学生たち。 「ドレミファ・ベストテン」なんていう、いかにも(笑)な歌番組が出てきたり、バンド名が「ポーの一族」だったり、アラフィフ世代にとっては、散りばめられている言葉がもう、笑っちゃうくらい懐かしいのです。 そして、大人になりきれない大学生が、大人の世界にゆるく立ち向かう様子が鮮やかでもあり、その後のシリーズ2作に続く青春ストーリーにもなっています。
(選者・コメント:はたの@館長)



6.『タモリの、ダウンタウンも世紀末クイズ』
編/フジテレビ笑っていいとも!,発行/フジテレビ出版




「笑っていいとも!」の人気コーナーが書籍化された「世紀末クイズ」。 この本が学校やお茶の間で人気を誇った15年後、小学生の私は母の実家の本棚でこの本を見つけて、ハマりました。 今回さらに15年経って読み返してみても、クスッと笑えるクイズがたくさん。シュールなカエルとおさるさんのイラストもかわいくてほっこりします。途中にはアクロバティックな動きをするタモリさんと若き日のダウンタウンも登場したり……! シリーズで3冊出版されていて、ウッチャンナンチャンバージョンもあります。 1人でこっそりニヤニヤしながら読むのもよし、家族や友達とわいわいクイズ大会を催すのもよし、いろんな楽しみ方ができそうな懐かしい本です。
(選者・コメント:ひーちゃん)



7.『小学館ミニレディー百科シリーズ』
編/小学館,発行/小学館




昔々、ちょっとだけ病気がちな小学生の女の子がおりました。 その子は漫画が大好きで、おこずかいで買った漫画雑誌をみんなが授業を受けている時間に布団の中で何度も読み、好きな絵を真似して描くのが唯一の楽しみ。 本好きな父親によく本屋に連れて行ってもらい、勉学のために活字を読ませたい父を完全スルーして漫画と子供向け実用本コーナーへ。 大好きな上原きみこ先生のイラストが表紙の本がたくさん並んでいたからです。


それがこの小学館の入門百科シリーズ。 昭和40年代生まれの子どもたちのバイブルともいえるこの本は、ファッション、エチケット、料理、手芸などがテーマの入門書。 今思えば将来”良妻賢母”になるための指南書だったのかもしれません。 その中でその子が夢中になって読んだのが「少女まんが入門」と「たのしいクッキング」 。ミシン綴じのページがはずれてくるほど読んでいました。 クッキングに掲載されてるメニューは日曜日にかたっぱしから挑戦し、まんが入門にある描き方はすべてやってみて、ノートにコマを割って言われた通りに漫画を描いていました。


あれから45年。 その子はあの頃の両親の年齢をとっくに越して、立派なおばさんになりました。 なのに、今でも大切にしている入門シリーズの好きなページを開くと、あの時と同じようにワクワクキラキラした気持ちになるのです。 初めて読んだ時には必要なかったリーディンググラスをかけて、紙ではなくiPadに漫画を描いています。 今もその子の”入門”は続いているのです。
(選者・コメント:みやこ)



8.『愛されすぎたぬいぐるみたち』
著/マーク・ニクソン,発行/オークラ出版




小さな頃、お気に入りで、いつも一緒だったぬいぐるみや毛布ってってありますよね。うれしい時も悲しい時も抱きしめた大切な存在。この本にはU2のボノ、ミスタービーンのクマなどの、思い出のぬいぐるみたちが掲載されています。名前やエピソードと、年月が経った今の姿の写真と。なつかしく、温かく、ちょっと切なくなります。 最後に名前もエピソードも、写真も載っていないページが用意されています。これはあなたのぬいぐるみのためのページです。もしかしたら今はもういないかもしれませんが、思い出の中でも構いません。そっとページに投影しましょう。ページを開けばいつでも会えるように!
(選者・コメント:田澤専務)



9.『自然図鑑―動物・植物を知るために』
著/さとうち藍,発行/福音館書店




ジリジリ暑く蝉が鳴いている小学生頃の夏休み、膨大な一ヶ月という長い休みに胸を躍らせてこの本を開いていました。近くに自然のない住宅地に住んでいた僕にとって、この本は冒険の第一歩。本には写真はなくすべて手書きのスケッチで描かれています。1ページ1ページめくるごとにワクワクが高まり、頭の中に妄想の世界が広がります。 虫や魚の捕り方、鳥や動物の鳴き声の録音の仕方、望遠鏡や双眼鏡の使い方、写真のとり方やスケッチの仕方、野生動物の足跡から何の動物か探る方法、足跡の型の取り方。どれも新鮮で面白かった。 先日、おそらく20年ぶりくらいに実家にある本を開いてみましたが、今でもすごく面白く、そこには小学生の頃の僕のワクワクが挟み込まれていました。
(選者・コメント:たいちろう)



10.『おそうざいふう外国料理』
編集・発行/暮しの手帖社




母は料理があまり好きではなく、しかも勤め人でもあったので、食卓には出来合いのものが並ぶことが多かった。 そんな母にとって、娘が小学校に入学してから知った、「お友達を家に招くお誕生日会」という文化は、大きなハードルだったと思う。 娘の友達にごちそうを……と母が思ったのかは不明だが、用意したのがチェックのカバーのこの本。「おそうざいふう外國料理」だ。 暮しの手帖社さんの本らしく、丁寧な説明文と写真が載ったこの本は、母の強い味方となり、わが家のごちそう日の台所には、いつもこのチェックの本が開かれていた。 誕生日会の「クリームチキン」、夏休みの宿題をやろうとみんなで集まった時の「ミートソース」、父が何度もリクエストをした「酢キャベツとソーセージ」……実家にある本はもうボロボロになってしまったけど、私も家を出た時に1冊買って、ページを開いては懐かしく思ったり、作ってみたり、そんな長い長いおつきあいの本なのだ。
(選者・コメント:KYOKO@かき氷)