前月の手紙社リスト“本”編で花田菜々子さんがセレクトした「読書でフルーツの秋を味わうためのみずみずしい本」を、手紙社の部員が選んだら? 食べて良し、描いて良し、撮影して良し、物語のテーマとして良し。フルーツは、食欲の秋、芸術の秋、そして読書の秋の味方ですね。
✳︎ここで紹介した10冊を、手紙舎つつじヶ丘本店の一角に準備しました。どなたでも読むことができますので、カフェタイムのお供にぜひ!
1.『フルーツパトロール』
著/伊藤まさこ,発行/マガジンハウス
著者の伊藤まさこさんが、季節のフルーツを探して西へ東へ。美味しいフルーツパフェやジュースのお店、果樹園、お家で楽しめるフルーツレシピなどを紹介しています。食べる・作る・旅する・贈る・フルーツを通していろんな楽しみ方を紹介していて、心がワクワクしてきます。伊藤さんのフルーツ愛に満ちた優しい文章も素敵です。
フォトエッセイでもあり、レシピ本でもあり、ガイドブックでもあるこの本を片手に、いつかフルーツパトロールを実現させてみたいと思うのは私だけではないはず!!
(選者・コメント:伊万里のバタ子)
2.『いちご だんめん図鑑』
著/わたなべ まこ,発行/小学館
もともとイチゴが好きで、本屋さんで何気なく手にとったら、そこには可愛い断面の世界観が! 42種類ものイチゴが掲載されていて、それぞれに名前の由来や断面図、生産地などもプチ知識も書かれています。イチゴのフォルム・みずみずしい断面の可愛さも含め、筆者の取材力に敬意を払いたいくらい、イチゴ愛に溢れた本です。
【個人的オススメな読み方】
ticomoonさんの<round trip with strawberries>をBGMに、イチゴを頬張りながら、ページをパラパラ捲ってみるのも楽しく読めます。
本を読み終わったあとは、こちらのページで本を作った裏話を読むのもオススメです。読み返したあとに、イチゴの見方が変わるかも?
(選者・コメント:いちごが好きなジャスコ)
3.『くだものレターブック』
編著・発行/パイ インターナショナル
こんなにもページをめくることが楽しい本があるでしょうか? かわいく美しくアンティークなくだもの柄100枚! もったいなくて使えない便箋。保存用•鑑賞用•使う用に3冊持っておくことマストな100枚レターブック。
季節は秋。ここ手紙舎本店のメニュー。いまの季節のプリンアラモードにはどんなくだものがのっていますか?
わたしもこの本をめくりながら本店のプリンアラモードを満喫してみたい。
(選者・コメント:あっこ)
4.『もものかんづめ』
著/さくらももこ,発行/集英社
ちびまるこちゃんでお馴染みのさくらももこさんのエッセイ集。「もものかんづめ」というタイトルですが、フルーツのイメージとは程遠い、水虫と格闘するお話から始まります。
臨場感があって、再現ドラマのエキストラとして出演しているようなみずみずしい(⁈)感覚で、次に何が起こるかハラハラドキドキします。ぜひさくらさんと一緒に乙女の妄想の世界を旅したり、底なし薬湯に浸かってみてください。
エッセイをひととおり読んだら、ぜひその後に続く、こぼれ話を読んでみてください。ひとつひとつのお話を思い出しながら、クスッと笑うのもこの本の楽しいところのひとつです。
なかなかのシビアな状況もユーモアたっぷりな描写で綴られているので、思わずプッと吹き出してしまうことも。電車で読むときは十分ご注意ください(笑)
(選者・コメント:ひーちゃん)
5.『くだもの だもの』
文/石津 ちひろ,絵 /山村 浩二,発行/福音館書店
“かいすいよくには いかない すいか
キウイ うきうき うきわで およぐ”
リズミカルで楽しくなる言葉と、表情豊かな果物たちで溢れた一冊。この絵本を子供たちに読んであげると、真似して同じ言葉を言ってみようとしたり、「もういっかいよんで」と、何度もリクエストされることもあります。そして、私自身も、この本の面白さに、何度も何度も繰り返し読んでしまいます。
大人になって、本を声を出して読む機会はなかなかないと思いますが、この本を手に取った際には、ぜひ声に出して読んでもらいたい一冊です。
(選者・コメント:みやむら<PBZ>)
6.『なぜ、「白雪姫」は毒リンゴを食べたのか』
著/岩月謙司 ,発行/新潮社
誰しもつい食べてしまう毒りんごがある。それは幸せ恐怖症のせい。
母と娘の呪縛などはまだ世間にあまり存在しなかった頃の考察本。娘でなくともつい食べてしまう。共感できる人はきっと多い。
さてあなたか食べたあの時のりんごは毒りんご? どうか幸せになることを、怖がらないで。
(選者・コメント:ことみ)
7.『木の実のなるころ (のばらの村のものがたり)』
著/ジル・バ-クレム,著/岸田 衿子,発行/講談社
のばらの村は冬じたくで大忙し。くろいちご、やぶすもも、さんざし。雨が降る前に、きりかぶ倉をいっぱいにせねばなりません。ふと、だんしゃく夫人が声を上げました。「プリムローズはどこにいるの?」。大忙しの手をとめて、ねずみたちは迷子になった小さな女の子を探します。
くろいちごが生い茂るやぶ、ぎっしり詰まった食糧庫。木の中を透かせばキルトや暖炉、かご、飾られた絵、丸い窓に戸口に、うっとり。描きこまれた草花や木の実、夢のような部屋にファンが多いシリーズ絵本です。
それでも、暗くなった野原の脅威に怯える子どもにとって、探してくれた大人の腕のなかこそ、なにより嬉しい、安心できる場所でしょう。
(選者・コメント:まっちゃん)
8.『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』
著/江國香織,発行/集英社
9人の女性の物語です。それぞれが魅力的でそれぞれがどこかで繋がっている。姉妹や友達であったり、公園でたまに会う人だったり、同僚だったり。登場人物は多いが全員くっきりとしている。段落ごとに人物が変わっていき、引き込まれてゆく。
20年ほど前に読みましたが、今回再読。改めて読んだら懐かしさとまた違った思いも生まれました。年が長けてから読むと共感できる部分も増え、自分でも気付かないくらいの小さな感情の描写が沁みる。頭の中で形として存在する、言葉にできない気持ちが文章となり腑に落ちる。
江國さんの小説は、登場人物の言葉遣いが綺麗で心地好く、いつもの何でもない日常を美しく感じさせてくれます。秋の夜長に、フルーツをつまみながら江國香織ワールドを。
(選者・コメント:Jun:co)
9.『最初の、ひとくち』
著/益田ミリ,発行/世界文化社
はじめて食べた美味しいものの思い出が詰まったエッセイです。なかでも、マンゴー、フルーチェ、フルーツパフェ、さくらんぼといったフルーツのエピソードは自分が体験したあの味、あの感動を見事に蘇らせてくれました! 運動会のお弁当のタッパに入っていたフルーツ。ふたを開けた時の興奮。嬉しかったなぁ。子供にとってフルーツってキラキラしていて、わくわくする。そんな存在でしたね。そうだ久しぶりにフルーチェ食べようかなぁ!
(選者・コメント:田澤専務)
10.『Subject & Object 三宅瑠人作品集』
著/三宅瑠人,発行/グラフィック社
イラストレーター・三宅瑠人さんが描く、175点のイラストを集めた作品集です。果物・花・鳥など、写実的だけど、どこかユーモアがある三宅さんの作品。様々な書籍の挿絵にもイラストを提供しているので、ご覧になったことがある人もいるかもしれませんね。
私自身も絵を描くので、この美しいイラストレーションをどうやって描いているのだろう? という興味も湧きます。パッションフルーツや洋梨など、スーパーマーケットではあまり見かけないフルーツも描かれていて、どれも美味しそう。じっくり“味わって”いただきたい一冊です。
(選者・コメント:三重のTomomi)