EVENT INTRODUCTION

イベント紹介

7月24日(水)〜8月4日(日)

寺村光輔 陶展 at 手紙舎 2nd STORY

 

器 うつわ
料理を載せ 花を生かし
時には食材の宿となり
暮らしを支え
日々を彩る

 

陶芸の地・益子で作陶を行う、寺村光輔さん。この度、手紙舎 2nd STORYにて2度目となる個展を開催いたします。益子焼の歴史と技術を尊重しながら、現代に合うデザインを探求し生みだされる彼の器は、どんな料理をも美しく引き立てます。手紙舎のカフェでも様々な料理を載せ活躍する、鮮やかな瑠璃色の器を、ご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。各地で精力的に活動を行う彼が、今回新たに挑んだものは“容器”。日々違うものを載せるプレートやマグカップと異なり、食材の宿とも呼べる新たな“器”の形を、ぜひご高覧ください。

 

▷topic 1 器の販売

新作の“容器”を含め、大小様々なプレートやマグカップ、花器などの作品が400点以上並びます。

 

▷topic 2 寺村さんの器にまつわる手紙社オリジナルグッズが登場

寺村さんの器をテーマに、DMのイラストレーションも手がけたイラストレーター・小川哲さんとコラボレートした、手紙社オリジナルグッズをお披露目いたします。

 

▷topic 3 個展限定カフェメニューをお楽しみください

個展期間中、手紙舎 2nd STORYのカフェでは、寺村さんの器にちなんだ特別メニューが登場いたします

寺村光輔の器が生まれる場所.1
寺村光輔の器が生まれる場所.2
寺村光輔の器が生まれる場所.3


 

寺村光輔の器が生まれる場所.1

 
鮮やかな瑠璃色、少し渋みのある青緑、とろりとした艶のある飴色。暖かみのある力強い色から、乳白まで豊かな幅を持つ灰色。シンプルで、力強く、どんな料理もしっかりと受け止めてくれるような寺村光輔さんの器。この器は、どんな場所で生まれてきたのでしょうか?
 
6月の終わり、気持ちよく晴れ渡る初夏の日に、工房にお邪魔しました。益子駅から車で走ること十数分、細い砂利道を通り抜けた先に寺村さんの工房があります。気持ちよく生い茂る緑を掻き分けた先には、大きな窯を入り口に配した日本家屋が。敷地内の急な坂を登ると、その上にもまた建物。こちらは入り口に年季の入ったポリバケツがずらりと並んでいます。
 

大学時代に吉祥寺の陶芸教室で陶芸に出会ったという寺村さん(大学自体はなんと経済の学部だったそう!)。益子との出会いは、大学3年生の頃。陶芸教室で紹介された益子の土や釉薬を知り、実際に足を運んだのが始まりでした。その後も陶芸の面白さに魅了され、大学卒業後には益子の工房に入り、4年の修行生活へ。その中でやりたいことがどんどん膨らんでいき、独立して今の工房を構えました。今年で独立して11年目を迎えます。
 
様々な媒体で紹介される寺村さんのプロフィールを見るたび「益子の土」という言葉が目に入ります。陶器市の際には、500以上もの作家のテントが並び、9日間で40万人近い来場者で賑わうという、陶芸の地・益子。益子の陶芸家は数あれど、その中でも一線を画す“寺村さんの器”とは、どんなものなのでしょうか。取材を通して、見えた風景、そして寺村さんが語る益子焼の魅力、ひいては寺村光輔の器の魅力をお伝えしていきます。
 


 

寺村光輔の器が生まれる場所.2

 
この日は、「水簸(すいひ)」と呼ばれる、釉薬の材料となる灰のアク取りの作業と、実際にろくろを回して器が形作られる様子を見せていただきました。この「水簸」とは、灰と水をかき混ぜることにより、不純物やアクを取り除く作業のこと。精製された粘土や灰が簡単に手に入る昨今は、この作業そのものを行わない作家もいるそうですが、なんと寺村さんは、林檎の枝や藁、お米のもみ殻などを近隣の農家の方から分けてもらい、灰を作るところから自身で手がけているそうです。建物の前に並んでいたポリバケツは、全てこの水簸の途中の灰などが入っているのだとか。
 

バケツからバケツへ、濾し器を使って大きなゴミを取り除いた後、数日間静かに沈殿させます。不純物が溶けた上水を捨て、新たに綺麗な水を継ぎ足し、かき混ぜる。これを何度も繰り返し、なんと数ヶ月もの時間をかけて、ようやく釉薬に使用する灰が出来上がるのだそうです!

 


上水が黄色く染まっているのは、ブドウの灰


もみ殻や藁の灰は真っ黒です

様々な灰が入ったバケツが並ぶ中に、ひときわ白い綺麗なものを見つけました。これは「寺山白土」と呼ばれる釉薬の原料で、かつて益子焼の「並白」と呼ばれる透明な釉薬で使われていました。修行時代にこの釉薬の美しさに心を打たれた寺村さんは、今はもう産出されていないこの素材を「一生分買った」のだと言います。寺村さんの器には、全てこの「寺山白土」が多かれ少なかれ含まれています。寺村さんの工房には、独立当初から使っているというとても大きなガス窯があるのですが、寺山白土を「一生分」買う決断といい、この大きな窯を最初に迎えた事といい、その大胆な行動力には驚かされます。
 

大きなガス窯。独立当初から使っているとは思えないほど真っ白で美しい窯です

 


 

寺村光輔の器が生まれる場所.3

 

水簸見学を終え、今度はろくろのある建物へ。いよいよ寺村さんの器が生まれる瞬間に立ち会えるかと思うと、胸がドキドキしてきました。
 

ろくろの上を回る粘土が立ち上がっていく姿は、まるで泉から水が湧き出てくるよう! 一瞬前までは硬そうな表情をしていた粘土が、寺村さんの手を通り抜けると、驚くほど滑らかに、するり、と美しく立ち上がっていきました。2回ほど、器のヘリを持ち上げるように手で引き伸ばした後、「トンボ」と呼ばれる道具で高さと幅を確認。「しっぴき」と呼ばれる糸で土と器とを取り外したら、あっという間に器が出来上がります。

 


真剣な面持ちで器の立ち上がりを見つめる寺村さん

「トンボ」と呼ばれる器具で器の口径や深さを確認。通常は竹製ですが、寺村さんは針金で自作したものを愛用しているそう

「しっぴき」を用いて器を土から切り離せば、完成です

今回見せてくださったのは、2018年1月に出来上がったという、寺村さん自作の「薪の窯」で焼き上げる作品。これまで10年近くガス窯を使用してきた寺村さんですが、実は独立当初から「いつかは薪の窯を」と考えていたそうです。
 

寺村さんが自ら作ったという、薪の窯。赤いラインと、顔のようにも見える窯の蓋と、どこか愛嬌ある姿です

独立10年目にあたる昨年に念願の窯を設けたのは、制作を続ける中で、「これまでぼんやりとしていた、『薪の窯で作りたいもの』がはっきりとしてきたから」と語ります。今回の個展では、そんな薪の窯で作った作品も沢山ご用意くださるそう! どんな作品なのか、気になりますよね。そこで寺村さんに見せていただいた、薪窯ならではの味わいある器を一つ、ご紹介します。

 

こちらは、1つのマグカップの表と裏の写真です。2枚目の方はとろりと流れるような表情をしていて、両面の違いが面白いですよね。これは、窯の中で器が置かれた位置によって、「灰を被りやすい面」が現れるにより、灰を被った箇所がこのように溶けたような様を見せてくれるのだとか。

釉薬がかかっていない底の部分には、熱の当たり方の違いによって生まれる美しいグラデーションが見えました。手に取った器から、その生まれる様子を想像できることって、なんだかとてもワクワクして素敵ではないですか?

 


 

【寺村光輔 陶展 at 手紙舎 2nd STORY】
会期:2019年7月24日(水)-8月4日(日)
時間:12:00-23:00(22:00 LO)
場所:手紙舎 2nd STORY
住所:東京都調布市菊野台1-17-5 2F
tel.:042-426-4383

•寺村光輔 http://kousuketeramura.com/

作家在廊日:7月24日(水)