「REGARO PAPIRO」江藤明日香さんにお話をうかがいました

「REGARO PAPIRO」は、福岡の小さな古民家からスタートした、紙の専門店です。イギリスやアメリカ、ネパール、オーストラリアなど、海外から買い付けた珍しい紙のほか、オーナーの江藤明日香さん自身がデザインする多彩なオリジナルペーパーを加え、扱う数は400種類以上。文具や紙雑貨などのツールとしてではなく、紙そのものを販売する店は、日本ではあまり多くありません。




「海外を旅したとき、ヨーロッパの街にはあちこちにラッピングペーパーの店があったんです。特に、フィレンツェの『IL PAPIRO(イル・パピロ)』というお店の雰囲気が大好きで、日本でもこんなお店を作りたいって思ったんです」




そう話す江藤さん。海外のラッピングペーパーは、裏表に絵柄があったり、手触りや印刷方法に味わいがあったりと、人々が「紙そのもの」を愛でていることが伝わる作り。紙が大好きで、自身もグラフィックデザイナーだったことから、その夢はすぐに具体化していきました。






福岡で古民家物件をカフェやアトリエにリノベーションしたエリアの一室で、世界中から集めた紙とオリジナルペーパーがずらりと並ぶショップをスタート。オンラインショップや「紙博」などのイベントなど、実店舗以外での出会いもどんどん広がり、「紙好き」のハートをがっちりと掴んでいきました。


REGARO PAPIRO 福岡本店



100種類以上のオリジナルペーパーは一期一会の柄も

コレクションする人も多い「REGARO PAPIRO」のオリジナルペーパーは、江藤さんが身近なものからインスピレーションを受け、デザインから仕様まで手がけるもの。年間30柄ほどのペースで新作を発表するほか、ロングセラーの定番からその年・その季節の限定柄まで、常時100種類以上がそろいます。




「季節や年はもちろん、日常で気になったモチーフやその時のマイブームがデザインに現れたりするので、『今しか作れない柄』もあるんですよね」と笑う江藤さん。

植物や動物、図形、暮らしのモチーフなどのほか、「おじサンタ」「有難うサムライ」など思わずクスッと微笑んでしまうゆるいイラストも。絵柄や雰囲気に合わせて、トレーシングペーパーだったりレトロな色の上質紙だったりする、紙のテクスチャーも楽しみの一つです。



おじサンタラッピングペーパー


有り難うサムライ柄ラッピングペーパー


今回は、絵柄ではなく「色」にフォーカスし、同系色をセレクトしたオリジナルのセットも用意。いつもとは違う視点から組み合わせを選べば、新しい発見がありそうです。また、「月刊手紙舎」の特典として制作した「うちわ」は、ファンが多いにもかかわらず限定柄のため販売を終了していた「体操クマ」を復刻。もう一面は、定番人気の「いちじく」で「REGARO PAPIRO」の魅力がギュッと詰まった一枚です。



BLUEペーパー11枚セット



特典用に制作したオリジナルうちわ


たくさんの紙の中から、とっておきを見つける幸せ。一期一会の「今」の気分にピタリとハマる喜び。だからこそ紙探しは楽しくて、作り手も使い手もやめられない引力があるのでしょう。



「贈る」喜び、「使う」楽しみ

「ラッピングペーパーって、贈られた人が受け取り、楽しむという側面があると思うんです。でも、自分(贈る側)がかわいいと思ったものを選ぶと、贈る時間がもっと特別な時になります」と、江藤さんは言います。

たしかに、欧米にラッピングペーパーの専門店が多いのは、ギフト文化の現れ。プレゼントを選ぶのと同じように「どんな色の、どんな柄の紙で包もうか?」と包装紙選びも楽しめたら、贈る側の喜びは倍になります。

一方で、紙をラッピングではなく、コラージュや「手帳デコ」で使ってくれるユーザーの作品を見ることも、大きな励みの一つだとか。包装紙から絵柄を切り取ったり組み合わせたりするアイデアに、一枚の紙だった時とは全く違う表情を発見し、うれしくなるといいます。




2021年6月には、東京の下町に「REGARO PAPIRO 東京蔵前」を、2022年春には、実際に切り離して使える100柄のペーパーが収録されたデザインブック『レガーロパピロの可愛い包装紙デザイン』を出版するなど、新展開が続く「REGARO PAPIRO」。



レガーロパピロの可愛い包装紙デザイン


贈られた人も、贈る人も、使う人も、見る人も。関わる人を幸せにするオーラが宿る「REGARO PAPIRO」の紙の世界から、今後も目が話せません。








REGARO PAPIRO(レガーロ・パピロ)
福岡に本店を持つラッピングペーパー専門店。オーナーの江藤明日香さんがデザインするオリジナルペーパーのほか、世界中からセレクトした愛らしく存在感のあるラッピングペーパーがそろう。

2021年6月、東京・蔵前に「REGARO PAPIRO 東京蔵前」をオープン。初の著書であり図案集に『レガーロパピロの可愛い包装紙デザイン』(芸術新聞社)。

Web Site:https://www.regaro-papiro.com/
Instagram:@regaropapiro
Twitter:@REGAROPAPIRO
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