2024年11月から12月にかけてTEGAMISHA BOOKSTOREにて開催された 原裕菜個展「In the Box」の展示原画作品です。
数々の書籍の装画も手掛けるイラストレーター・原裕菜さん。時に大人っぽく、時に可愛らしく、眺めていると時代や空間を飛び越えたような感覚に陥る原さんの作品。瀟洒さも兼ね備えた唯一無二のイラストは、インテリアの一部にも加えたくなる美しさが魅力です。
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「そろそろお片付けしようか」と声を掛けると、
子どもは消防車が描かれたお気に入りの赤い箱に、一所懸命おもちゃを詰め込み始めた。
その箱には彼の大切なものがたくさん入っている。
ミニカーや石ころやガチャガチャのカプセル等。
それを見てふと、自分が実家のクローゼットの奥にしまい込んでいた箱を思い出した。
おもちゃのおまけ、壊れたトイカメラに、使い終わった香水瓶。
その中身は今思うと雑多なものばかりだけれど、
それらを手にした頃のわくわくした気持ちを忘れられなくて、
捨てようと思ってもなかなか捨てられない。
思い出と呼ぶほどでもない記憶の品々だ。
本展でのモチーフは、
そんな誰かの箱の中に眠っているかもしれないものをイメージした。
(個展「In the Box」に寄せて 原裕菜)
【額サイズ】
25角(270×270×24mm)
【画材】
アクリルガッシュ、パステル